社会人

風邪は絶頂に達した。

しかし今日は午後から親会社に顔を出さなくてはいけない。休むわけにはいかない。
一通りの仕事を適当に済ませ、15:00過ぎに会社を出て駅に着いたその時に、一番の得意先A(つまり僕の前の職場)の営業Y(つまり僕の後輩)から電話が入った。
「先日やって貰った仕事が未だにお客さんに届いてないんですげど....。」
あわてて電話で現場に指示、出荷待ちの商品をチェックさせたところ、しっかり残っていた。しかもかなりの量だ。そのままタクシーで会社に戻りトラックを手配して再出荷することとなった。実際に僕は何をしていたかというと、当然先方とのやり取りでアタフタ、うちの営業に報告してアタフタ、トラックが来るのを待ってヤキモキ。それだけだ。
そして得意先の営業Yは、当然大元のクライエントとの折衝、搬送業者であるS急便との折衝に追われ、そして自らS急便に赴き仕分け作業を手伝っていた。
最後まで僕に対しては紳士的な態度を崩さなかったが、相当疲労困憊であったろうし、何よりもハラワタが煮えくり返る思いだったと思う。失敗を犯した張本人であるこの会社は、僕を含めて「ごめんなさい」の一言で済ませてしまったのだから。
誠実な対応というものは、間違いなくYのとった行動にこそあるものであって、少なくともその時の僕には微塵もなかったといっていい。
社内における甘え体質の強さという面では本当にこの職場は世界に誇れるものを持っていると思う。そしてそれを非難しておきながら、実は僕自身がすっかりその中でノンビリいい気分になっていたのだ。

取引停止という事態に陥っても不思議ではないくらい、あまりに情けないミスだった。
もし付き合いが続けられるようであるならば、その時こそ誠実な仕事をみせていかなくてはいけない。先輩面して偉そうにする僕ではなく、最低限、与えられた仕事を着実にこなせる僕として。

帰宅途中、再び絶頂に達した風邪に屈し、駅のホームで一休み。
しかし休まなくて良かった。

来週からが勝負どころだ。ちゃんと直せよ。

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