職場の昼休み中ふと、子供の頃の遊び、みたいな話になった。
1969年生まれの僕が真っ先に思い出すのはミクロマン。「お気に入りのオモチャ」ということを考えると他に思いつかない。大体時期を同じくして手塚治虫に傾倒していくのでミクロマンにハマったのもせいぜい2〜3年なのだと思う。そのあとの漫画オタク時代に較べると、時間も密度も圧倒的に少ない。本当はその時に夢中になったものが今思い出すと結構ウルっと来るのではないかと思うのだが、ネタがミクロマンくらいしか出てこない。だからきっと当時の僕にとってはかなりのかなりのスーパーヒップなアイテムだったのだろう。
でまあ、チャイムが鳴っちゃって、(仕事として)色々と調べものをしたりして。
(多分)小学1年生のクリスマスに買ってもらったのがオートバギーという超カッコイイ逸品だった。
赤いミクロマンが乗り回すワイルド7みたいな感じ。
ものすごく鮮明にイメージが残っているつもりだったんだけど、実際の画像を見て、驚愕してしまいました。
うっそー。こんなにショボかったっけか?
赤いミクロマンだから多分間違いないし、名前もあってる。だから多分絶対これです。信じたくないけど。
しかしミクロマンはともかく、もっともっとかっこいい乗り物だと思ってたんだけどなー。あの時は結構最先端いってたはずなんだよなーコレ。でも当時のオモチャってのはこういうもんだったんだね。
品切れっぽいけど6,000円ですって!
確かクリスマスプレゼントはこれがいいこれがいい、と何度もせがみまくっていて、24日の晩は寝ずに父を待って直接受け取りその場で開封して組み立てるつもりだった(ちなみにサンタクロースなんてものはいないという教育を初めから受けていたので、その存在を信じたことは一度もなかった。兄弟が上に3人もいたからそんな夢を見させるのは実質不可能だったのだと思う)。そして案の定目覚めた時は朝になっていて、枕元にキレイに包装された箱が置いてあった。当時同じ部屋で寝ていた次兄が、「どうだった?オートバギーだったか?」とベッドを覗き込んで来て、でも最初に見るのは自分だけ、と思わずうしろを向いて箱を隠しながら包みを破いた。

あの時、どうしてこんな勘違いをしちゃったのか、その理由がよくわからなかったのだけど、この写真(箱の底面)をみてなんとなく(ねつ造かもだけど)納得。初めに包みをピリっと破いて僕の目に入ったのは、期待していたオートバギーとは似ても似つかぬ形状の乗り物だった(だから多分箱の右側から開けてしまったのではないかと)。
ちょっとがっかりして、「違う・・・」答えた僕に対し、その僕のがっかりを遥かに超える落胆度で「そうか・・・」と次兄が肩を落としたのをよく覚えている。これもかなり記憶をねつ造しているのだろうとは思うけど、これは現在疎遠になっている次兄との、人生のピークと言ってもいいくらいのいい思い出である。
もちろんその数秒後に「あ、やっぱりオートバギーだった!」と浮かれまくって次兄も大いに喜んでくれたのだが、僕も次兄も、最初の勘違いによる落胆のおかげでその喜びは三割減くらいになってしまったような気がする。次兄、あの時は本当にすみませんでした。
それからはもちろん組み立てである。なんてったってオートバギーなのだから、起きたてのベッドという超難関コースを突っ走るという雄姿を拝ませていただかなくてはならない。
兄や姉はおそらく、プレゼントをしっかり確認しひときわ喜び充分納得し終えて、朝食の為に階下に向かっていたのだろう。気付いたら部屋には僕一人しかいなかった。休日(日曜日?冬休み?)の朝食だから、みんな揃って食卓を囲むという徹底した不文律があり、母親の「早く降りてメシ喰らえ」コール」も聞こえてくる。急がねば。
一枚目の写真がいわゆる完成予想図で、確か組み立て手順の紙も同梱されていたはずなのだけど、バカだからそんなものには一瞥もくれず、すぐさまオートバギーを組み立て始めた。
土台のエンジン部分とタイヤ、そして座席部分に分かれていたと思う。きっと、エンジン部分に両側のタイヤを付け、そこに座席を被せる、のが正しかった、のだと思う。でもそんなこと聞いてないからね、すぐ座席をガシっとはめちゃったんだね、しかも深く。そしたらタイヤが付かなくなっちゃった!
しまった!でも急がねば!でもせめて10秒くらいでもこの荒地を走ってもらわねば!急いで座席をはずさねば!えいっ!
ポキっ。
座席とエンジンを固定する凸凹が折れてしまいました。もちろん折れた突起部分はエンジンの凹に深く埋まったまま。
もう号泣ですわ。1秒も、1cmも走らせてないですからね。
下に降りた時には、もう母親は食事を終えていて爪楊枝でシーシーやりながらお茶を飲んでました。
オートバギー(になるはずだった物体)を片手に「オカーサン!オカーサン!」と泣き叫ぶ僕に、「いいから早く食べちゃいなさい。」とため息まじりに答える母、おもむろにエンジン(になるはずだった物体)を手に取り接合部分をしばし見つめ。ふと何を思ったか、くわえていた爪楊枝をパキンと折り、埋もれた突起の中央に空いた細い穴(空気穴?)にキュキュっと差し込んだ。そして座席をその上にキュキュっと差し込んで、そして一言。
「はい直った。」
直っちゃったって。
爪楊枝1本(厳密にいうなら3分の1本くらい!)でオートバギーが蘇った!この時は心底オカーサンってスゴイと思った。これは多分ねつ造なし。
そのあと恐らく1〜2年はこれで遊びまくっていた(徹底したインドア派だった)はず。もちろん自分でメンテナンスが出来るようになり、爪楊枝は10本近く新品に交換した。
とまあそんなわけで、ミクロマンのオートバギーっていうヤツは、小学校低学年にして家族ってものを振り返るきっかけを与えてくれた、言ってみれば情操教育の権化みたいな、そんな存在だったっていう話。
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実はオートバギーは僕にとっては2つ目のミクロマン。その前にもう1つというかもう1人というかもう1台、わが家には別の超スーパーヒップスターがいた。
これは名前も覚えていないんだけど、検索してみた。ヒントとしては、
とにかく機能がスゴイ。虫みたいな感じで足が長くて折りたためる。だからすごい高い所もすごい低い所も走れる。あまり攻撃的な感じじゃなく、なんかこう、探査隊っぽい感じ。で、かっこいい。ミクロマンはスケルトンっぽいオレンジか黄緑。この点に於いてはオートバギーの赤いミクロマンより遥かにかっこいい。で、とにかくかっこいい。
そしたら出てきたのコレだった。絶対コレ。マジでガッカリ。
オマエ全然背低いやんけ!ビームトリプラーってしっかり武器ついとるやんけ!しかも6万超えって・・・。
でもオレンジミクロマン、彼はやっぱりかっこいいなって思った。
これは福岡県に住んでいた頃だから、幼稚園か小学校1年の夏休みまでのマイベストフレンド。
秘密の能力で空を飛ばしていた(要は投げてた)ら、天井に当たって、着陸してきた時には片足が丸々もげてしまっていた。急遽、多分段ボールとかで松葉杖を作って差し上げて、そのあともしばらく地球平和のためだか地球征服のためだかで働き続けた、そんなすごいミクロマンだった。
でも心配しなくて大丈夫、買ったりしないから。
tags : ミクロマン イカス

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